春の乗っ込み期と並び秋はイシダイの好シーズン。活性が高い魚が秋の深まりとともに越冬へ向けて活発にエサを捕食するから、大きなアタリと強い引きを楽しめるのだ。そんな秋イシダイを手にするための要点を、手持ち釣りの名手・橋本陽一郎さんにうかがった。2回に分けてお届けする今回は、釣り場選びとマキエワークについて。
秋もイシダイは浮くがタナは春よりやや深め
──秋はどんなところを狙えばいいですか。
居着きの魚がいるところを狙うことですかね。回遊の魚が入らないところもあるのでね。年中魚がおるようなところ、春よりちょっと深ダナ。秋の魚も浮くことは浮くんですよね。マキエでね。でもちょっと深めですね。
──具体的にどんなところを狙うのでしょうか。
春はあんまり釣れないところ。春は海藻が多くて秋は海藻がなくなってよくなるとかですね。それと全部が全部当てはまるわけじゃないですが地寄りの磯。地寄りの磯でも秋は潮が切れますからね。ちょっと入ったところまで平均して潮がきます。
──春より少しタナは深めとのことですが、春のように7mや8mまでは浮かないですか。
足元の水深が10mとか浅いところだと6m、7mで釣るところもあります。ただ深いところ、足元で30mなんで場所だと浮いてくるのは水深の半分くらいまでですね。マキエを徹底して中層に打ってですね。
──タナの探り方を教えてください。
(長崎県)の乗っ込みのようにイシダイの大群が入るところでは、上から釣っていきますけど、秋は底から順番に探ることが多いですね。一投で探れますからね。
上からだったら足元がストンと落ちていれば下げていけますが、ちょっとかけ上がりになっていれば下げていけないからですね。エサ取りの具合にもよりますけど、エサが残りっぱなしだったらちょっとゆっくりめに2~3分待って1m上げてきます。
先に仕掛けを投入し潮を見てからマキエ打つ
──どういうアタリを探しますか。
秋はひったくっていくくらい食いがいいので、イシダイらしい明確なアタリが出るところを探していきます。基本的に攻め方は2通りあるんですね、自分の場合は。仕掛けにマキエを合わせるか、マキエに仕掛けを合わせるか、どっちかなんですね。
──具体的にはどうなるのでしょうか。
結局決め釣りというか、ここって決めたところに集中してマキエを打つか。ちょっとマキエを拡散させてポイントを探すかなんですね。釣り始めにある程度粗割りのマキエを入れますよね。
マキエを効かせた周りでアタリが頻繁というか、確実にイシダイのアタリかなってあるときは決め打ちです。リールのカウンター15のタナで当たったら、13~16の間にマキエが入るように打って釣ります。イシダイのアタリが少ないときはマキエを拡散させて探っていきます。
──拡散させるときはどれくらいの幅でしょうか。
中層から底周辺まで。ベタ底までっていうのはめったにやらないですが、水深が20mなら中層から17、18mまでですね。
──マキエの打ち方で気を付けることは何ですか。
磯の形状にもよりますね。黄島なんかは典型です。手前の壁際から打っていきます。そこから50cm外れたら9mにたまるはずのマキエが24mまでいってしまうんですよ。
だから自分は慣れたポイントでもいきなりマキエを打たずに仕掛けを入れてみて潮流を確認します。潮が潜っているとか、わいているとか、手前から外れているとか当たっているとか。潮は日によっていろいろなので、それに合わせた打ち方ですよね。沈む角度もありますから。
アワセをたたき込む瞬間の衝撃が手持ち釣りの醍醐味
潮は刻々と変わるのでそれを見ながら狙ったタナにマキエが入るよう打つ位置を変えていくことが大切です。ステージを作れば誰でも釣れるんですよ。文章にすると、それがすべてになってしまうんですが、実際はそれがない釣りなんですよ。大ざっぱな釣りと世間ではいわれるんですけど、実はかなり繊細な釣りなんですよね。
※後編に続く