磯釣りスペシャル on sight

遠投が自身のグレ釣りを大きく変えた

田中貴が新たな釣技を求める理由

語り=田中貴 撮影=細田亮介

  • テクニック
遠投が自身のグレ釣りを大きく変えた

《プロフィール》 たなか・たかし 1974年生まれ。現役トーナメンターのなかで最強と呼ぶ声は多い。ダイワグレマスターズでは3連覇を含む6度の優勝に輝く。DAIWAフィールドテスター、山本釣具センタースタッフ。

 鹿児島県甑島で開催されたダイワグレマスターズ2013全国決勝大会の準決勝はかなり苦戦が強いられました。潮の流れと風が強くて、仕掛けがなじまないまま境界線にまで流されてしまうので、仕方なく仕掛けを回収する…といった状態が続きました。

このときの試合が、田中さんをさらに強くするきっかけとなった

 もう少し仕掛けを遠投できれば境界線までに仕掛けをなじませることができたのですが、当時の私が持つ技術では限界を感じました。

 そんな難しい状況の準決勝で山村大志選手に敗戰してしまい、決勝に駒を進めることができませんでした。それまで大きなウキや遠投の必要性を感じなかったのですが、この試合をきっかけに、もっと悪条件であっても釣りこなせるようにならないと勝てないと思い、2段ウキの釣りや棒ウキの釣り、さらに遠投を強化することに専念しました。

森井陽さんとの出会いも大きなきっかけに

 それからは遠投を意識し始めたのですが、マスターズがあった数カ月後ぐらいに磯釣りスペシャルの別冊(グレ釣り激烈激釣VS)の取材で、森井陽さんと愛媛県の日振島でセッションしたのが大きなきっかけになりました。森井さんはかなり遠投してグレを仕留められていたし、それを見て遠投を身につければさらに自身の釣りが広がるなと確信しました。

日振島で見た森井さんの遠投も大きなきっかけとなった

 釣りは運の要素が大きいけど、対戦相手が遠投でバシバシとグレを釣って、自分は仕掛けもマキエも届きません…みたいな理由で負けるのも悔しいので、どんな状況であっても対等に戦えるスキルはもっておきたいと思うし、大会が開催されるエリアは遠投で差がつくフィールドが多いのも理由です。

全国大会がおこなわれるフィールドは、遠投力が勝敗を分けることも珍しくない。写真は長崎県五島列島

 特に大会がよく行われる長崎県の五島列島だと、魚影が濃いので手前を中心に釣りを組み立ててしまうと型の小さいグレが先に食ってくるパターンが多くなります。なので魚の数が比較的少ない沖をねらって、深いタナに仕掛けを入れ込むことで型のいいグレが当たってくる確率が上がります。

遠投に磨きをかけるため、工夫と努力は今も続けている

 今もですが、遠投は日々練習していますよ。ウキをめがけてマキエを遠投するというよりも、沖に見える山と山の間だったり、何か目標を決めて仕掛けとマキエを打ち込むことで同じラインに飛ぶようになったり、自分なりの練習方法で磨きをかけています。

遠投時はオモリの力が必要になる

 遠投でもうひとつ気をつけなければいけないのが、ただ投げればいいというわけではありません。沖を狙えば狙うほど、仕掛けのなじみを邪魔する要素が増えるので、オモリの力が必要になります。

 私が実践しているのは、まずは手前に仕掛けを入れてなじむまでカウントし、次に沖へ仕掛けを遠投して同じようにカウントします。手前に入れたときと同じ秒数でウキがシモればなじんでいると判断し、ウキが浮いたままであれば同じカウントになるまでオモリで調整していきます。

仕掛けのなじみは遠投した場合もカウントして判断する

 遠投を身につけることで、自身の釣り幅が格段に広くなったので、これからもさらに磨きをかけていきたいですね。

2022/11/17

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