磯釣りスペシャル on sight

あのとき鬼才は若かった

松田稔の熱い魂を伝えたい 〜其の二/26年前に釣りビデオ『あっぱれ松田稔』リリース

撮影・文=細田克彦

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あのとき鬼才は若かった

VHS釣りビデオ氾濫の時代

 1996年1月から松田さんの釣りビデオの第1弾の取材がはじまった。その神がかり的な技の一部始終を動画で再現した。とにかく圧巻の展開だった。ロケ地はホームグラウンドの愛媛県中泊から和歌山県串本、長崎県五島列島まで及んだ。

 当時としては目新しいラインの操作や仕掛けを張るということはどういうことなのか、などの解説や大グレの取り方や本流の攻略法を網羅した。また、ゲストとしてダイワ精工(現DAIWA)フィールドテスターとして活躍されていた薄墨賢二さんやがまかつフィールドテスターの藤原義雄さんに参加していただいた。

 釣りビデオの氾濫ともいえる時代で売上が低迷していたが、この一本は金字塔的スマッシュヒットとなった。松田さんの力であることは言うまでもない。

惚れ惚れとするきれいなロッドワークを魅せる。中泊の大三角での攻防
難なく奪取した45cmオーバーの尾長グレ。左は徳島の名手だった薄墨賢二さん
右は“ゼロスルスル釣り”の名手である藤原義雄さん。串本大島のウス島での共演
懐かしの釣りビデオ。3400円なり。発売元は今は無き週刊釣りサンデー。企画&制作、ジャケットデザインなどすべて素人の細田1人で仕上げた。いま思えば恥ずかしい限りである

“祭り”の後の宴

 1999年2月。フィッシングショーOSAKAで細田のインタビューに応じてくれる鬼才。「もうエエやろ。釣りの話は磯だけでエエでぇ」と終始笑顔を絶えさない優しき松田師匠。

 ショーが終わってからの大阪の夜の宴は長い。“午前様”も大あり。フィッシングショーの期間中は、乱れる日本酒は御法度、ビールのみという釣りメーカー内の決まりがあった。とにかくアルコール類は底なしなのだ…。

「フィッシングショーは釣りより疲れるわい。メーカーが来てくれ言うからしゃあないでぇ。ワシは人前に出るのは苦手なんよ」。元気バリバリの53歳だった…

2023/02/09

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