スレッカラシの尾長グレ、それも大型はブチ切られるのは覚悟で釣ったれ! 鬼才の持論である。切られるのが怖かったら先には進めん、まず食わせることが最優先や。食わせてから取り込みなど様々なことを考える。バラしたら反省あるのみ。その時点で自分の釣り対する進歩があるというのだ。さすが百戦錬磨の実践重視の松田スタイル。
ここではそんな大型の尾長グレをなんと1.5号ハリスで仕留めた模様を再現しょう。1998年11月の釣りである。好調な売上を記録するグレ釣りビデオの第三弾「大グレ!松田稔 極限!細ハリス」に収録されているエキサイトシーンである…。
迫力満点!渾身のファイトが続く…
豪快無比!迫力満点!これぞ、鬼才!惚れ惚れする渾身のファイトが続く…。「早う取らんと口切れになるぞ。強いぞ、よう引きよるヤツよ。1.5号のハリスの強さを見せたるけんな」。
捨て身の挑戦といえばオーバーだろうか、まさにブチ切られ覚悟の展開である。1.5号のロッドの反発力が最大限に生かされているアクションが続く。ロッドがのされかかったらリールのレバーブレーキを緩め、瞬時にラインを出しロッドを立てなおし、再度反発力を武器に体勢を有利にもっていく。ハリス1.5号をカバーするロッドワークである。一見すると強引に見えるかもしれないが、計算されたラインの強度の限界を知っているからこそできるのである
ラインの強度を知るために日々努力
ラインの強度の限界を知るー。この努力も大物を取るためには不可欠なことだ。たとえば、特大イズスミやサンノジなどの外道が掛かれば、色々試してみることだという。思い切りロッドを曲げてみたり、ラインをリールから一切出さずにブチ切られるまで我慢するとか。強引にゴボー抜きしてしまうなど、ラインの強度を知るために自分なりに実際にテストしてみることだという。ハリス1.5号の強度を頭の中だけで空想していてはダメなのである。
また、グレが同じパターンで入れ食いのようになれば、釣りたい気持ちは分かるが、このときもスキルアップのチャンスだという。わざと釣れる潮筋を外してサシエを流してみたり、ウキ下を変えてみたり、オモリの打つ位置を変えてみたりして、なぜいま食わなかったのか、オモリを変えたらアタリの出方が変わったのかなど、色々なことを試して食わせるための勉強をすることも大事だという。なるほど!自分のスキルアップのための努力が一番大事なのである。鬼才は若かりし日々はこんなことばかりしていたらしい…。
ウキ入れ5cm以内で合わせる早アワセ
ウキの松次郎が海面下に見えたかと思えば、ググッとヤツのヘビーな力でまたも海中へ消える。そのたびにロッドが悲鳴をあげる。そんなシーンが何回か続く。頭の中はからっぽ状態。闘争本能だけが自分を支配する。これはまさにハンティングだ。死闘の末、ヤツはやっと浮いた濃い茶色をおびた魚体が重々しくタモに入った。してやったり!鬼才の勝利であった。同時にハリス1.5号の強さが証明された。
「大きいグレを取ろう思たら、早アワセが絶体なんや。ハリは確実に唇に掛けなアカン。尾長はハリをのみ込まれたら一発で切られるからのう。せやからウキが入ったら5㌢以内にはアワセを入れることよ。それとや、アタリが確実にウキに出るようにせなアカン。そのためにウキ下をビシッと張るいうのが基本。細ハリスで取ろう思たら早アワセが一番大事やな。それにしても中泊の尾長はかっこええ、それに食べて美味しい居着きの茶グレ(魚体が濃い茶色)ぞ。今晩はぶつ切りの塩焼きで一杯やろうぞ…」。
2000年から新たなる難敵に挑む
鬼才はこの時点では愛媛県中泊のスレッカラシの尾長グレに惚れていたが、2000年からは新たなる難敵に遭遇するのである。それは高知県鵜来島&沖ノ島である。それを機によりテクニックに磨きがかかり、ロッドやラインやハリなどの開発に意欲を燃やすのである…。